シナリオセンター課題:背信:「選択のツインテール」


タイトル
選択のツインテール
登場人物
古川桃香(19)アイドル
鈴木(37)アイドルオタク

金森彰人(27)俳優
恋夏アム(18)アイドル

達川卓(37)アイドルプロデューサー
母親(45)桃香の母親
ファン
本文
〇古川家・リビング
ぼさぼさ頭、ジャージ姿の古川桃香(19)と母親(45)がテレビを見ている。
テレビにはイケメンの金森彰人(27)の写真と、『若手俳優 またアイドルとスキャンダル』のテロップ。
桃香が立ち上がる。
桃香「かっこいい。惚れた」
『またアイドルとスキャンダル』の文字を見る桃香。
桃香「ねえ、お母さん」
母親「うん?」
桃香「わたし、アイドルになる」
ぼさぼさ頭でジャージの桃香、笑顔。

〇ライブハウス・ステージ(夜)
ツインテールの桃香と恋夏アム(18)が可愛い衣装で踊って歌っている。
まばらな観客。
観客の一人である、ぽっちゃり体系の鈴木(37)がペンライトを持って踊りの真似をしながら手を振っている。
桃香が笑顔で手を振る。
× × ×
桃香、アムが並んで立っている。
桃香「今日は来てくれてありがとう」
観客席の鈴木が笑顔で手を振る。
桃香は笑って、手を振る。
アムは鈴木の挙動を嫌そうに見る。
ステージ袖から達川卓(37)がマイクを持って現れる。
客がどよめく。
達川「えー、皆様にお知らせがあります。今日の物販から、なんとCDを発売します! さらに特典としてCD1枚ごとに好きなメンバーと1回握手ができます」
観客、喜ぶ。
達川「ただし、千枚売れなかったら即解散!」
どよめく観客。
桃香は唇をとがらす。

〇同・ホール(夜)
握手会が行われている。
桃香、アムが横並びになり、二人の前にまばらな握手列。
桃香はファンと握手していっている。
桃香の前に鈴木が現れる。
鈴木は汗だく、無精ひげも目立つ。
桃香「お、鈴木さん。今日も、鈴木さん、楽しそうだったね」
桃香と鈴木が握手する。
鈴木「楽しいよ、頑張ってる桃香ちゃんを応援するのが俺の生きがいだからね」
桃香「はは、ありがと、他にも生きがいが見つかるといいね」
鈴木「それなー。あ、CD、たくさん買うから、絶対に解散させないから」
桃香は口をとがらせる。
桃香「うーん、1000枚ってきついよね」
まばらな握手列。
鈴木「俺、頑張るからさ。あ、そういえばさ、聞いたことなかったけど、桃香ちゃんってなんでアイドルを目指したの?」
桃香「え? なんでアイドルを目指したか?」

〇(フラッシュ)金森の写真

〇元のライブハウス・ホール(夜)
桃香と鈴木が握手をしている。
桃香「アイドルを目指した理由ね……、うーん、あ、歌が好きだったからかな」
鈴木「そうなんだね、じゃー、やっぱり解散阻止しないとな、たくさんCD買うから」
鈴木は笑顔で親指を立てる。
桃香は真剣な表情で鈴木を見る。
鈴木が不思議そうな顔。
桃香は笑顔を作る。

〇古川家・桃香の部屋(夜)
暗い部屋。
ベッドで横になる桃香、手の平を天井にかざしている。

〇同・同(朝)
誰もいないベッド。

〇ライブハウス・入り口・前(夜)
サングラスをかけた金森が立っている。

〇同・ステージ(夜)
ステージで歌う桃香とアム。
まばらな観客。
楽しそうに応援する鈴木。
観客席の後ろで金森が立っている。
鈴木は汗だくで笑顔で手を振る。
桃香は鈴木の方を見る。

〇同・楽屋(夜)
桃香とアムが化粧を直している。
アム「いやー、無理っすわ。オタク、まじ、無理っす。とくに桃香さんのオタクのあの太った人、まじ、やばいっすね」
桃香「え、鈴木さん?」
アム「名前、知らないっすけど。いや、アイドル、続けるの無理かも」
桃香「ふーん」
桃香は鏡の中の自分を見る。
鏡に映る桃香の顔、眉をひそめ、怒ったような表情。
桃香は笑顔を作る。

〇同・ロビー(夜)
握手会。
桃香、アムの前にまばらな握手列。
桃香と鈴木が握手して話している。
鈴木「とりあえずCD100枚買った」
桃香「え、100枚? まじ? いくら?」
鈴木「1枚1000円だから10万」
桃香「10万、まじ」
鈴木「まあ、けっこう財布は痛いけどさ、桃香ちゃん頑張ってるから、俺も応援したいし、頑張ってな」
手を離そうとする鈴木。
桃香はその手を強く握る。
鈴木「桃香、ちゃん?」
桃香「ありがとう。私、頑張る」
鈴木は笑顔になり、去っていく。
鈴木の背中を見る桃香。
次の人がくる。
桃香は笑顔を作り、手を差し出す。

〇楽屋
桃香とアムが座っている。
達川がはいってくる。
一緒に金森が入ってくる。
桃香が金森に気がつき驚く。
桃香「あ」
桃香の顔が赤らむ。
達川「あー、知っていると思うが、俳優の金森さんだ。今度、金森さんが主演するドラマで、地下アイドルのライブシーンがあるらしく、その勉強のために見学に……」
金森「はじめまして。勉強になりました」
桃香とアムはかたまっている。
金森はポケットから名刺を取り出して、桃香とアムに配る。
金森「今度、仕事一緒になるときもあるかもしれないし、これからも宜しく、じゃ、次があるんで、いつか、また」
金森は去っていく。
達川は金森を追いかける。
桃香は名刺を見る、『スタープロダクション 俳優 金森彰人』と記載されている。
桃香は名刺を裏返すと、殴り書きで『駅前のエクセルホテルのロビー 22時』と書かれている。
桃香は驚き、名刺をポケットにいれる。
桃香はアムが持っている名刺の裏を見るが何も書かれていない。
桃香「これって……」
桃香は自分の手の平を見る。

〇(フラッシュ)握手して笑顔になる鈴木

〇元の楽屋(夜)
桃香は首を振る。
アムが名刺を眺めている。
アム「イケメンだったね……今度、アプローチしてみようかな、あの人、アイドル好きだよね、たしか」
桃香はアムの方を見る。
桃香は立ち上がり、ツインテールのゴムをほどき、髪をおろし荷物をもち出て行く。
桃香「私、先、帰るわ」
アム「う、うん」
桃香は出て行く。
時計が21時30分を指している

〇大通り
手に名刺を持ち、走る桃香。
工事現場で工事員達が作業している。
桃香は工事員の中に鈴木を見つけ、立ち止まる。
鈴木は泥まみれの顔で汗だく。
若い工事員に怒鳴られている。
桃香は手の名刺と鈴木を交互に見る。
桃香は離れたところにたっているビルを見る。
ビルには『エクセルホテル』と書かれた光る看板。
鈴木は必死に作業している。
鈴木を見る桃香。
桃香「やーめた」
桃香は名刺を捨てて、ポケットから髪ゴムを取出しツインテールを作る。
ホテルとは反対方向へ歩き出す。


最後のシーン、桃香は片方を選択したので、
ツインテールじゃなくてポニーテールにするのが良かったのではと指摘されて、
確かに思いました。