シナリオセンター課題:ハンカチ:「ハンカチヒーロー」


タイトル
課題:ハンカチ:「ハンカチヒーロー」
登場人物
寺尾進(23)フリーター
内野紀子(20)大学生
寺尾雅子(48)進の母
勝野真人(17)高校生。フリーター。
白山由美(20)大学生。紀子の友人。

おばあちゃん

女性アナウンサー
本文
○駅前の大通り
寺尾進(23)が歩いている。
その向かい側から内野紀子(22)がハンカチで汗を拭きながら歩いてくる。
寺尾はすれ違う際、紀子に見とれる。
寺尾は振り向いて、歩いている紀子の後ろ姿を見つめる。

○コンビニエンスストア・店内
コンビニの制服を着た寺尾がダンボールを運んでいる。
本棚の前で数人の男が立ち読みをしている。
寺尾はダンボールを持ちながら、立ち読みをしている人の隙間を通ろうとするもうまく通れず、その場で進もうとしては戻ることを繰り返している。
コンビニの制服を着た勝野真人(17)が本棚の方に近づいてくる。
勝野「お客様、後ろ、失礼します」
寺尾「あ、」
立ち読みをしていた人たちが道をあける。
勝野「こういう時はお客様に一言言って、通ってください。お願いしますよ」
寺尾「あ、ありが…」
勝野はレジの方に戻っていく。
寺尾は本棚の奥に進んでいく。

○コンビニエンスストア・店前・駐車場
私服に着替えた寺尾が店からでてくる。
店の前の道路をおばあちゃんが歩いている。
おばあちゃんは足をもつらせ倒れる。
おばあちゃんのカバンから物が散らばる。
寺尾「あ」
寺尾はおばあちゃんの方に一歩だけ進むがすぐに止まってしまい、おばあちゃんが荷物を拾っているのを見ている。
店から勝野がでてくる。
勝野「あ、大丈夫っすか?」
勝野はおばあちゃんに寄っていき、荷物を一緒に拾う。
寺尾は勝野とおばあちゃんが荷物を拾うのを見ている。
荷物がすべて拾われて、おばあちゃんが立ち上がる。
寺尾は勝野とおばあちゃんを見ている。
おばあちゃん「ありがとうね」
勝野「ぜんぜん。というか、大丈夫なの?」
おばあちゃん「もう大丈夫。ほんとにありがとうね」
おばあちゃんが勝野に頭を下げる。勝野は否定するように手を振っている。
おばあちゃんが寺尾のほうを少し見る。
寺尾は目線をそらす。

○駅前の大通り(夕方)
寺尾が歩いて駅に向かっている。
寺尾の正面から紀子が歩いてくる。
寺尾「あ」
紀子は寺尾の横を通る際、カバンからハンカチを落とす。
寺尾はハンカチを拾い紀子の方を見る。
紀子は歩いている。
寺尾は立ち止まりハンカチと紀子を交互に数回見る。
紀子は横の通りに曲がっていく。
寺尾はハンカチを見つめる。
ハンカチには「U・N」と刺繍されている。
寺尾はハンカチを見つめたあと自分のカンバンにハンカチをいれる。

○デパートの女子トイレ(夕)
紀子が洗面台で手を洗っている。
紀子はハンドドライヤーに手をかざし、手を乾かす。
紀子はトイレの出口に向かいながらカバンの中に手をいれて、少し中を探る。
紀子「あれ」

○寺尾の家・前(夜)
二階建ての一軒屋。一階の窓から明かりが外にもれている。

○同・リビング(夜)
寺尾はソファに座っている。
寺尾雅子(48)がソファの側に近づく。
雅子「あんたね、なんで無職なのに、そんな疲れた顔で座っているの」
寺尾「いいだろ、別に、今日、バイトだったんだよ」
雅子「あなたが誰かの役に立つ日が来るのかしらねぇ」
寺尾「・・・」
寺尾はたまらずリモコンでテレビのスイッチをオンにする。

○TV画面
ニュース番組。女子アナウンサーが現行を読んでいる。
サイドスーパー「都内でひき逃げ・女性が重態」

女性アナウンサー「本日、夕方ごろ、都内でひき逃げがありました。被害にあったのは都内在住22歳の内野紀子さん。現在は病院に運ば れ、命には別状はないとのことです。警察は現在、聞き込みをしながらひき逃げ犯の行方を追っています」
画面に紀子の写真と背景に病院の映像。

○寺尾の家・リビング(夜)
寺尾と雅子がテレビを見ている。
雅子「物騒ねぇ。あら、川島病院、近所じゃない」
寺尾はテレビを見つめている。
雅子「あら、何、知り合いなの?」
寺尾「いや、なんでもない」
寺尾はソファから立ち上がると、駆け足でリビングから出て行く。

○寺尾の家・1階と2階をつなぐ階段(夜)
寺尾が階段を駆け上る。

○寺尾の家・寺尾の部屋(夜)
部屋の片隅に寺尾のカバンがある。
部屋のドアが開き、寺尾がはいってくる。
寺尾はすぐにカバンの方に向かい、カバンの中からハンカチを取り出す。
寺尾はハンカチのイニシャルをあわてて確認しようとする。
ハンカチには「U・N」の刺繍。

○川崎病院・外(夜)
5階建ての大きな建物。

○川崎病院・病室・内(夜)
ベッドに紀子が横になっている。
紀子の頭や腕などに包帯が巻かれている。
いくつかの医療機器がベッドの周りに置かれている。

○寺尾の家・寺尾の部屋(夜)
寺尾はベッドに横になっている。
寺尾はハンカチを手に持ち、ハンカチを見つめている。
ハンカチには「U・N」の刺繍。
寺尾は起き上がり、窓の外を眺める。
寺尾「よし」

○川崎病院・正面入り口前(朝)
寺尾が病院の入り口に向かっている。
寺尾はハンカチを持っている。
寺尾は入り口の前で立ち止まる。
寺尾はハンカチを見つめる。
寺尾は病院を見つめる。
おばあちゃんが病院入り口の前にやってくる。
おばあちゃん「あれ、あなた、昨日の」
寺尾「あ」
おばあちゃん「昨日はありがとうね」
おばあちゃんが頭を下げる。
寺尾「え、いや、俺は何も」
おばあちゃん「助けようか迷っていてくれたでしょ。わかるわよ」
寺尾「え・・・」
おばあちゃん「気持ちだけでも嬉しいのよ。でも、次はちゃんと行動まで起こしてね」
寺尾「え、あ、はい」
おばあちゃんは病院にはいっていく。
寺尾「次・・・」
寺尾は手に持っているハンカチを見る。
寺尾は病院の方に一歩、足を進める。

○大学・食堂・内
テーブルに紀子が座っている。
紀子の側に白山由美(20)が寄ってくる。
由美「ねぇねぇ、ヒーローの話し、私にも聞かせてよ」
紀子「え、誰から聞いたの?ヒーローというか事故のとき、励ましてくれた人だよ」
由美「いいからいいから」
紀子は由美に引っ張られて、違うテーブルに連れていかれる。
紀子が座っていたテーブルにハンカチが置かれたままになっている。
ハンカチには「U・N♥T・S」と刺繍されている。


本課の初作品。読むとき緊張した。
先生からは特にシーン尻について指摘をもらいまいした。これから書く人の参考になれば幸い。